循環器科

心臓病の発症初期には目立った症状がなく、徐々に症状が現れて進行していきます。
散歩に行きたがらない、疲れやすい、食欲が低下してきた、咳が出るなどの症状があれば、早めの検診を受けて下さい。
早期発見・早期治療が症状の悪化を防ぎます。定期的な心臓検診を行うことで悪化を防ぎ、QOL(生活の質)の維持を目標に治療していきましょう。

循環器科

主な症例について

肺水腫

心不全が悪化すると、肺に水がたまる肺水腫という状態になることがあります。

肺水腫

写真は、横向きで胸部を撮影したものです。左側が頭部になります。
画面中央、やや上あたりを横切っている、黒い線のように見えるものは気管、その下に丸く見えるものは心臓ですが、右側の横隔膜に挟まれた三角の部分(肺の一部)が、本来なら黒く抜けなければならないところが真っ白になっています。
レントゲン写真では、X線をよく通すものほど黒く映るので、空気は黒く、水や組織などそれ以外のものは白く映ります。
写真のような所見が得られた場合、肺に空気ではないものが溜まっている可能性を示唆します。
このような所見は、心臓の機能が落ちている状態(いわゆる心不全)から、肺に水が溜まってしまう「肺水腫」である場合、また、肺に強い炎症が起きている場合など、様々な原因でみられます。
これまでの経過や犬種(キャバリアは心不全の好発犬種です)、治療への反応などから総合的に判断して「肺水腫」の可能性を第一に考え、酸素室での入院を行います。
治療内容は、利尿薬の投与、あとは反応をみながら、血管を拡張させる薬の静脈点滴などです。
治療後は、飼い主様からも「呼吸がとても楽そう」「横になって寝るようになった」などの話をしっかり聞くことも獣医師の大切な役割です。

伝染性腹膜炎

心不全が悪化すると、肺に水がたまる肺水腫という状態になることがあります。

伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、広く猫の腸管に感染する低病原性の猫コロナウイルス(FCoV)が、一部の猫の体内で突然変異を起こし、腸管以外の場所、とくに血液中に出現するようになります。
マクロファージ内で感染・増殖し、それに対して猫側の免疫反応が過剰に働き、III型あるいはⅣ型のアレルギー反応を起こす病気です。
アレルギー反応の結果は、血管炎と炎症性滲出(ウェットタイプ)、あるいは肉芽腫病変の形成(ドライタイプ)です。
集団飼育下のストレスがかかった猫や、FIVFeLVなどの免疫異常を引き起こすウイルスに感染した猫に見られることが多いです。
また、純血種はより発症リスクが高いと報告されています。
突然変異ウイルスが猫から猫へ水平感染して発症させるかどうかは未だ議論が分かれているところです。
確実に完治をもたらす治療法はこれまで発表されておらず、現在行われている治療も炎症反応や免疫反応を抑えるような対症療法的なものです。
診断は発熱、軽度の非再生貧血、ポリクローナルガンモパチーを伴う高蛋白血症、高蛋白で少数の炎症細胞を含む炎症性滲出液(胸水または腹水)、特徴的な肉芽腫病変(回盲結腸部、腸間膜リンパ節、腎臓)などの所見から総合的に判断していきます。
一般的には少なくなってきていると言われるこの病気ですが、ここ最近当院でもFIPが疑わしい症例が散見されるため、注意が必要です。

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